【クラブワールドカップ準決勝】アトレティコナシオナル(コロンビア)対鹿島アントラーズ(日本) 戦評という名の個人的な感想

今日はクラブワールドカップの準決勝が行われました。 先日、アフリカ王者も破って波に乗る鹿島とコロンビアのアトレティコナシオナルの試合です。アジア勢・日本勢初の決勝進出が懸かっている鹿島アントラーズが、アトレティコナシオナルに挑むという構図です。下馬評ではアトレティコナシオナルが有利と考える人が多いでしょう。この試合のプレビューというか、個人的な感想を書かせて頂きます。

 

スタメン

 

アトレティコナシオナル

 

          9.ボルハ

 21.ジョン・モスケーラ      28.ベリオ

         

         10.トーレス

 

                     6.ウリベ    8.アリアス

 

 19.ディアス           2.ボカネグラ

     12.エンリケス 3.アギラール

 

         34.アルマーニ

 

鹿島アントラーズ

 

      8.土居  18.赤崎

 

 13.中村           25.遠藤

     40.小笠原  10.柴崎

  

 16.山本            22.西

     3.昌子   21.植田

 

       21.曽ヶ端

 

注目選手

アトレティコは、エースであるボルハ選手とアトレティコの最高傑作と言われているベリオ選手です。鹿島は個人的に好きな選手である柴崎選手と、守る時間帯が多くなることが予想されるので、GKの曽ヶ端選手です。

 

前半

 

前半は展開が早くてチャンスが多く、面白かったと思います。鹿島は全体をコンパクトに保って素早いプレスからのカウンターが効いていました。アトレティコも最初の方はロングパスからの攻撃が多かったですが、時間が経つにつれて中央のボルハ選手に楔のパスを入れたり、右サイドのベリオ選手の突破からチャンスを作っていました。

 

アトレティコは中盤とDFの間にスペースが生まれやすく、鹿島はセカンドボールを拾った時や相手からボールを奪った時にはチャンスが作れそうな雰囲気がありました。柴崎選手の中央突破など決定的なチャンスもいくつかありました。反対にアトレティコは、CBのエンリケスからのロングパスの精度が高く、序盤はそこを起点にチャンスを作っていました。これで押し込もうとしていたのでしょう。そして時間が経つにつれて、鹿島の中盤や中盤とDFの間にスペースが生まれてパスが回るようになります。そうすると、CFボルハ選手にボールが入りやすくなり、そこから自分で振り向いて突破したり、飛び出してきた中盤の選手を上手く使ってチャンスを作っていました。また、右サイド(鹿島の左サイド)をベリオ選手が突破も効いていました。右サイド(鹿島の左サイド)を突破してからファーサイドの嫌な所にクロスを通すのですが、鹿島の右SBの西選手がよく対応していました。

 

実際チャンスが多かったのは、アトレティコでした。アトレティコの選手達の「個」の力は非常に高く、少し隙間を開けるとそこを縫って来るように突破できてしまうのです。曽ヶ端選手のファインセーブやポストに助けられるシーンも多くありました。ただ、鹿島は前回のアフリカ王者との試合でも前半は流れはこんな感じだったようです。だから、「守り切れる」みたいな自信がどこかにあるような雰囲気も感じました。何故かこういう自信がある時って、意外にゴールを割られないものです。不思議です。

 

そして前半33分、鹿島に思わぬ形で先制点が生まれます。フリーキックの時に西選手がペナルティエリア内で倒されていたのです。これを新しいビデオ判定技術は見逃しませんでした。割とプレーが流れた後だったのですが、PKの判定になります。これを土居選手がきっちり決めて先制に成功しました。この後も、アトレティコの猛攻を受けますが、なんとか耐えて前半を終えます。

 

ただこのままだと、いずれゴールを割られるのではないのだろうかとも思っていました。アトレティコのFWの選手にボールが入った時に、中盤の選手が飛び出していくのですが、そこがフリーになりがちだったので危険かなーと個人的には感じていました。

 

後半

 

後半もアトレティコが攻めるという流れは変わりませんでした。それでも鹿島は、曽ヶ端選手、昌子選手を中心に耐えていました。ただ、ボールを奪ってもなかなか攻撃につなげることができずにDFラインも徐々に下がりつつありました。最初からハイプレスで飛ばしていたので、しんどいだろうなとも思っていました。

 

鹿島の石井監督は早めに交代カードを切りました。9分に赤崎選手に替えて金崎選手、13分には小笠原選手に替えて永木選手を投入します。金崎選手を入れた意図としては、「守りに入るな」というメッセージと前線でボールを収めて欲しいということでしょう。永木選手を入れた意図としては、小笠原選手に疲れが見えたのとボールを奪って繋いで欲しいというのがあるでしょう。どちらも個人的な推測ですが。

 

それでもアトレティコがボールを支配する流れは変わりませんでした。やはり鹿島は、ボールがなかなか前線に収まりませんでした。ただ、アトレティコの方も前半や後半序盤ほど効果的には攻撃できていませんでした。アトレティコにも疲れが見え始めたのと、焦りも出始めたのでしょう。攻撃のパターンが中央突破に偏りがちになっていたように思えます。サイドを突破するようなシーンも前半より少なくなったように思えました。また、アトレティコの選手がFWにボールを当てた時に中盤の選手が飛び出していくのですが、鹿島の選手がそこにも上手く対応できるようになっていました。石井監督の指示、もしくは永木選手を入れた効果なのでしょう。前半や後半序盤ほど自由にはできていなかった印象です。

 

そして、よく耐えていた鹿島に待望の追加点が生まれます。38分に柴崎選手が絶妙なクロスを入れます、それに飛び込んだ遠藤選手がこぼれ球をヒールで流し込みます。柴崎選手は、機を見た攻撃参加でチャンスに絡んでいました。前半は守備の寄せが甘かったりした印象もあるのですが、後半はインターセプトなども効いていました。

 

そしてその後に、中村選手に替えて鈴木選手が投入されます。その直後、遠藤選手のパスにアトレティコDFとの競り合いながら抜け出した金崎選手がゴール前にグラウンダーの早いクロスを入れます。これを鈴木選手がきっちり決めて鹿島は3点目を決めます。鈴木選手は本当に気持ちが全面に出ていて、ゴールを決めた時には少し感動もしてしまいました。金崎選手もアシストも素晴らしかったです。

 

最後まで失点せずに耐えた鹿島。終わってみれば、3対0の圧勝でした。素晴らしかったです。

 

得点

 

前半33分:土居選手(PK)

 

後半38分:遠藤選手

 

後半40分:鈴木選手

 

鹿島の「耐えることのできる強さ」と「試合の流れを読んだ狡猾さ」が出た試合

 

正直、ここまで鹿島が強いとは思っていませんでした。昨年のサンフレッチェ広島対リーヴェルプレートの試合を見た時、Jリーグのチームと南米勢のチームとの差は埋まってきているとは感じていたのですが、「今日はもしかしたら勝てるかも。でもまさかね〜」くらいにしか思っていませんでした。鹿島ファンの方が読んでいたらすいません。

 

試合運びが上手いのが南米のチームの特徴とも思っていたのですが、今回の試合だけみれば、鹿島は南米チームにそこでも上回っていました。守備の時に耐えることができる強さもすごいですし、守るときは割り切って守っているようのも見えました。選手達の表情からは自信も感じとれました。また、チャンス時にはしっかりゴール前に選手が入っているのです。それも割と的確なポジショニングで。攻める時と守る時の見極める目が優れていて、なおかつチームでそれを実行できるのはすごいことです。「個」の力では、南米の選手に劣る部分もあります。そこはまだまだ日本サッカー全体の課題でしょう。しかし、「個」の力で劣っていてもチーム単位で勝つことができることを証明したとも言えると思います。少々言い過ぎかもしれませんが。

 

そして、今日の昌子選手の出来は素晴らしかったです。ことごとくアトレティコのFWの選手に入るボールをカットしていましたし、ピンチの場面では体を張っていました。後半43分にはカウンターになりそうな危険なシーンで、アトレティコのウリベ選手からボールを奪いとりました。「代表で使わないのかな〜」とも思いました。また曽ヶ端選手もファインセーブが多かったですし、飛び出すタイミングなども素晴らしかったです。この2人の活躍が今日の試合は特に大きかったでしょう。

 

鹿島が勝ってくれて個人的にはすごい嬉しいです。ここまできたら、次の決勝も勝って欲しいものです。

 

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