トッテナム対アヤックス(2018/2019 UCL準決勝1stレグ) 戦評

サッカー

2019.05.03

2018/2019シーズンのUEFAチャンピオンズリーグの準決勝トッテナム対アヤックス。この2チームが準決勝まで勝ち上がってくると予想した人はほとんどいなかったのではないだろうか。

そんな伏兵同士の一戦について好き勝手書いてく。

スタメン

トッテナム

アヤックス

ケインを怪我で、シティ戦勝利の立役者といえるソン・フンミンを出場停止で欠くトッテナム。どんなメンバーにするかに注目が集まったが3バックを採用した。

対するアヤックスはベストメンバーと言える布陣。

3バックの狙いとしては、中央を厚くしてアヤックスの細かいパス回しからの攻撃を防ぎ、カウンターといったところだっただろうか。

それとも、アヤックスがどうこうというよりも単純に現在いるメンバーの中で戦うためにベストが3バックが最適だと判断したのだろうか。エースがいない中で、ローズやトリッピアーという攻撃力の高いサイドの選手を生かしそこから攻撃をしようというのがあったのかもしれない。

結果としては3バックは失敗だったように思える。アヤックスがサイドを細かいパスからサイド深くまで攻めてくるため、両ウィングが下がり5バック気味になっていた。そのため中盤のスペースが空いてしまっていた。

サイドを深くえぐりそこから中盤の選手に戻して崩す、というアヤックスの形がハマっていた。アヤックスの先制点のシーンもこの形からだ。

またフォーメーション的に前からのプレスもあまりハマらずに後手に回るシーンも多かった。

ホームで戦うにしては弱気の采配に見えた。

DFラインからのビルドアップにも差があるように見えた。デ・ヨングなどアヤックスの選手たちは後ろからしっかりとパスをつないでビルドアップをしていたが、トッテナムの選手たちにはあまりその姿勢が見られなかった。

特に3バックの時はジョレンテめがけてボールを蹴ることに終始した。後半は4バックになったことと、シソコが入ったことで少しは良くなったが、落ち着いて組み立てているというよりは行き当たりばったり感が否めなかった。

特にサイドバックの選手から縦のウィングに当てていく形に偏っていたように見えた。個々のぶつかり合いで勝ってなんとかチャンスらしいところまで持っていくのがやっとといったところだろう。

アヤックスの選手のプレスがよかったのもあるかもしれないが、ボランチからもう少しボールを落ち着いてボールを組み立てできるように選手を配置すべきだったかもしれない。厳しい台所事情もあったかもしれないが。

見ていた一番思ったのは、「トッテナムってもっと強かった気がするけどなぁ・・・いくらアヤックスが強くてももっと強いイメージあったなぁ」ということ。やっぱりコンディション的にも厳しそうだった。

エリクセンやデレ・アリも目立たなかったし、ミスも目立った。また、欠場の選手も多く、交代カードで流れを変えるのも難しい状況かもしれない。

セカンドレグではもう少しコンディション的にいい状態で戦えるといいなぁ。プレミアだと厳しいかもだが。ソン・フンミンも戻ってくるので、そこは期待。

トッテナムがコンディションが良くなかったり、ソン・フンミンが欠場という状況もあったが、アヤックスの選手たちは若いのに落ち着いているなという印象が強くあった。

ボールを持っても慌てる選手はおらず、全員が堂々とプレーしていた。攻め急ぎすぎることもなく、落ち着いていた。

後半は攻め込まれるシーンも多かったが、「最後さえやられなければ大丈夫」といったような老獪ぶりを感じた。そして、GKから前線まで良く組織されていた。特にCBのデ・リフトとブリントとボランチのデ・ヨングのポジショニングは見事だった。

攻め込まれてからもカウンターは虎視眈々と狙い、あわや追加点というところまできていた。

守備時の前線からのプレスの掛け方、押し込まれた時んポジショニングなど良く組織されている印象のあるアヤックス。それは攻撃においても同様だった。

前線の4人は頻繁にポジションを変えるが、誰かが動いて空いたスペースを他の選手が使うというのが徹底されているので、バランス的には崩れておらず、いい距離感が保たれている。特に、ファン・デ・ビークの神出鬼没なポジショニングは効いている。

そして、後半にはカウンターアタックが多くなったがそれぞれが駆け上がるスペースが無駄がなかった。若いチームながらも、勢いだけでなくそれぞれの選手のインテリジェンスも優れていることがアヤックスの強みなのだろう。

コンディション的にも、台所事情的にもファーストレグに破れてしまったという結果からもトッテナムはかなり厳しいかもしれない。しかし、トッテナムはマンチェスター・シティを破ったチームだ。何より、ソン・フンミンも戻ってくる。もしかしたら、ケインも。

これはトッテナムに勢いをもたらすだろう。

またチャンピオンズリーグの準決勝では数々のドラマが生まれてきている。セカンドレグにも注目したい。